ライブレポート(ロングver.2)

休憩をはさみ、VTRの煽りに乗せて登場したのはALTIMAの3人。イメージカラーの黄色に染まりバックライトも輝き照らす。歌うのは代表曲の『CYBER CYBER』。MOTSUのリズミカルなラップにMAONのびやかなハイトーンが重なり、コール・アンド・レスポンスも繰り返され、後半戦のスタートをアゲて盛り上げた。約2年ぶり一夜限りの復活という状況にそれぞれ感慨深げな様子で、SATは「僕にとって本当に大切なユニット。今夜復活する機会を頂いてめちゃくちゃ嬉しいです」と語る。
「我々と言えばもうひとり」と、スペシャルゲストのKOTOKOを呼び込み、オーディエンスから「PLASMIC FIRE」と声が上がるなか、MOTSUは「90年代のテイストをたっぷりに」と前置きをして『天地無用!』を歌う。歌い上げのハーモニーもラップのようすもオリジナルへのリスペクト度が高く、20年以上前にもこうした楽曲があったのだと歴史を掘り起こし、彼らの格好良さで現在のファンに伝えるまさにルネッサンスなカバーだった。
転換VJに続いてシルエットが映ると間もなく黄色い歓声がステージに飛ぶ。颯爽と登場したのは浦島坂田船だ。フォーメーションを組み綺羅びやかな衣装で『SHOW MUST GO ON!!』(『スタミュ』第2期OP)を爽やかに歌うと、つづいてはこちらも多くの女性からの歓声が飛ぶAfter the Rainが登場。
昨年日本武道館2daysを実現した2人は2作同時リリースとなったシングル『解読不能』(『アトム ザ・ビギニング』OP)、『アンチクロックワイズ』(『クロックワーク・プラネット』ED」)をそれぞれ歌い、ラウドなサウンドにクリアな声を重ねる美しさを会場中のオーディエンスにアピール。MCで浦島坂田船のメンバーを呼び込むと女子の歓声が一段と大きくなる。この6人で歌う楽曲として、MCでまふまふがAtR以外にも作曲をしているという話題を持ち出すと、察しの良いファンが歓声を上げる。彼が作曲したのは人数もちょうど6人『おそ松さん』第2期OP『君氏危うくも近うよれ』だ。女性たちからの歓声を一身に受け止め、お祭り感の溢れるステージを作り上げた。
つづいて登場したGeroはその熱気を受け止め、自身の熱い歌声に変えて男臭くハイスピードチューンの『BELOVED×SURVIVAL』(『BROTHERS CONFLICT』OP)を歌い上げていく。彼のパーソナルカラーである緑に染まった会場をハイトーンシャウトで煽り、『~Outgrow~』(『東京レイヴンズ』OP)へとなだれ込み、個性あふれる節回しでオーディエンスに聴かせていた。

ここでVTRに「2018年新人のデビュー」の文字が踊る。歓声に迎えられて登場したのは4月より放送の「魔法少女サイト」のEDテーマでNBCよりソロデビューが決定した声優の山崎はるか。
黒をベースに赤いフリルの衣装で登場し、つづいて力いっぱい名乗りを上げると、それにオーディエンスは大きな歓声で応え祝福を示す。登場キャラクターの水蓮寺ルカとして歌った『僕ら、駆け行く空へ』(『劇場版 ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』OP)を、力強くもあり切なさも帯びた声で表現しつつ、歯切れ良いボーカルで歌い、これからの活動に期待を持たせるに十分なパフォーマンスを見せた。つづいてもうひとり、NBCファミリーに加わるアーティストが登場すると表示される。
キッパリとした元気な歌声で『GAMERS!』(『ゲーマーズ!』OP)カバーを歌うその人とは声優アーティストとして活躍する飯田里穂だった。名乗るまでは「まさか」と思っていただろうファンたちの間でざわめきが広がっていく。大舞台を経験した彼女らしく堂々たるステージングで披露し、ラストも「私とみんなの最初のジャンプ」とキメて、こちらも大歓声の中ステージを後にした。
続いて登場したのはNBCと同じく今年で歌手生活25周年を迎えるというベテランの石田燿子。温かみのあるサウンドと声で『OPEN YOUR MIND ~小さな羽根ひろげて~』(「ああっ女神さまっ」OP)を歌い世界観を作った後、彼女は落ちついた声で「同期や仲間という感じ」と語り歌手活動を続けられていることについて感謝を述べて『永遠の花』(『藍より青し』OP)と曲名を告げるとここでも歓声が上がった。アニメOPがスクリーンに映し出され彼女の丁寧な歌声が重なると観客たちが一斉に心を奪われていく、名曲だ。
続いてピアノのイントロが流れると間もなく歓声が湧く。赤く灯る会場の光と対象的な白いドレスを纏い弾き語りで『disillusion』(『Fate/stay night』OP)を歌うのはタイナカサチだ。

いわゆるアニソンフェスという舞台に、今回初めて姿を現すことになった彼女は、まさにレジェンドというべき存在。個性ある歌声で情感たっぷりに歌い上げるさまに自然と拍手が発生する。『Fate/stay night』のアニメOP映像をバックにバンドサウンドが加わるとさらに歌は加熱し、観客の耳目を惹きつけて止まぬほどの世界観だ。熱狂というよりもリスペクトを感じさせる拍手が湧くなか、MCで「私自身が活動をお休みしていたことで『Fate』のファンの皆さんとの大切な楽曲たちを2006年に閉じ込めたまま独り占めしていましたが、今日この会場で皆さんと一緒に“解放”できることをすごく嬉しく思っています」と語ると、大きな拍手と歓声を浴びる。『きらめく涙は星に』とその名を告げるとさらに一段と大きな歓声が湧き、よりアーティスティックな歌唱を披露し、強い存在感を放った。
NBCの歴史において欠かせないのがサウンドクリエイターチーム、I'VEの存在。高瀬一矢がDJをする中、登場したIKUは『Red fraction』(『BLACK LAGOON』OP)で迫力あるボーカルワークを響かせたあと、『sign』(『あの夏で待ってる』OP)では可愛らしく伸びやかな声でI'veの名曲それぞれにアプローチをした名カバーを聴かせた。
「あの夏で待ってる」のED曲『ビードロ模様』を担当したやなぎなぎはクラップや手を振り楽しさ一杯の空気を作ってから、『ひぐらしのなく頃に』のカバーではまた別の世界観を見せていく。こちらもイントロで多くのファンが反応する2000年代屈指の人気作。カバーではあるが、現在の彼女のディスコグラフィーにあっても不思議ではないほどのマッチを見せていた。
アウトロとクロスフェードして登場した黒崎真音は人気曲『Magic∞world』(「とある魔術の禁書目録II」前期ED)をスタイリッシュに高らかに歌いまた空気を熱くする。
「楽しんでいきましょう!」とシャウトして登場した宇佐美幸乃(LTW☆)は煽って会場の熱をさらに高めつつダンサンブルな『楽園PROJECT』(「To LOVEる -とらぶる- ダークネス」OP)を歌う。ソロとして歌う彼女はまた別の側面からの魅力を示していた。
先ほど「BROTHERS CONFLICT」のOPを歌ったGeroは今度はひとりで『14 to 1』を歌う。作品の魅力を知り尽くした彼はそれぞれのキャラクターの個性を捉えた歌い回しでファンを喜ばせる。
IKUは自身の『Rimless~フチナシノセカイ~』(「とある魔術の禁書目録」前期ED)を深い歌声からハイトーンまでを自在に操り想いを込めて歌い、カバー曲『Shining stars bless☆』(「ななついろ★ドロップス」OP)では美しいメロディーに伸びやかな声で聴かせる。
「皆さん、お待たせいたしました~」の声のあとKOTOKOが歌うのは知る人ぞ知る彼女の名曲にしてキュンキュン系電波ソング『さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~』(「カラフルキッス ~12コの胸キュン!~」OP)。当時と変わらぬテンションと可愛らしさで歌う。2コーラス歌う頃には会場も洗脳完了し、間奏セリフでは大歓声が上がるほどだ。そこから一転してハードトランス曲『Suppuration -core-』(「神無月の巫女」挿入歌)で格好良く盛り上げるところが彼女のシンガーとしての幅の広さだ。アグレッシブな歌いまわしから絶唱し魅了した。
そして続いてついに登場したのは、ファンの後押しによって一夜限りの復活を遂げた川田まみだ。ひときわ大きな歓声が沸き立ち、会場のファンは待ってましたとばかりにウルトラオレンジを点燈させる。I'veの歌姫の一人として長く活躍し、約2年前に歌手活動を引退した彼女は代表曲『JOINT』(『灼眼のシャナII』OP)をいきなりの投入。煽る彼女の熱もそれに応えるファンの声援もこの日一番の音の大きさだ。それに加えてこの間のブランクをまったく感じさせない堂々たる歌声を披露し充実感に溢れた思いで拳を突き上げた。ファンはそれに惜しみない拍手を送り、さらにしばらく鳴り止まない。「引退、と宣言したにもかかわらず、今日この場所に立っていることをどうかお許し下さい」と話す彼女に温かい拍手でファンは返す。「NBCファミリーの一員として今日ここに立てていることが本当に嬉しいです」とステージで歌うことへの感謝をそれぞれ述べ、『とある魔術の禁書目録』シリーズの主題歌をメドレーで展開するとそれぞれに思いを込めて歌うようすが伝わってきた。MCではこの2年間の近況について彼女から語られる。そこで結婚と出産が報告されると大歓声が沸き起こり、それに応え「パワフルになった川田まみでまた違う形で何か皆さんにお届けできたら」と、語るとまた大きな拍手が会場を包む。「温かく見守っていただきつつ、待っていて下さい」と確かに発せられたことがファンの耳に確実に届いたことだろう。そしてより熱のこもった声援の中、センターステージで『Borderland』(『ヨルムンガンド』OP)と『No buts!』(『とある魔術の禁書目録II」前期OP)と次々にドロップ。文字通り火柱が上がりスタイリッシュなサウンドに熱を入れる。その姿勢が彼女がファンからもアーティストからもリスペクトを受ける理由だ。

 長く深くお辞儀をした川田まみは南條愛乃と抱擁を交わし、次のステージへのバトンをつなぐ。
いよいよライブも大詰めが近づく。ソロアーティストとしての南條愛乃愛乃のステージへ。まずは『グリザイア』シリーズのEDテーマを3曲立て続けに歌い、温度を高く盛り上げると、やなぎなぎを呼び込みシングルでもコラボしたように『一切は物語』(「ベルセルク」第2期ED)を歌っていく。
歌い合わせやハーモニーの美しさがありつつも、楽曲全体を通した物語性や寂しさがライブでも伝わってくる表現力だ。つづいてAfter the Rainが登場。異色すぎるコラボに「正直、かなりビビってます」と、そらるが言うと「まじすか。私もです」と軽妙にMCを繰り広げる。男性ファンからも笑顔で受け容れられたことを安心するAfter the Rainはさらに「野太い声を聞かせてくれ!」とアピール。『アトム ザ・ビギニング』のOP/EDアーティストによるスペシャルなコラボとして南條の『光のはじまり』を歌い、互いにメロディを重ねていく。
南條の声はもちろん、高音を駆使しても歌いこなすそらるの姿がそれぞれのファン以上の人々に届いたのではなかろうか。第一線で活躍するNBCのファミリー感溢れるコラボ展開を音源だけでなくライブでも披露して、南條は最後にセンターステージで『ゼロイチキセキ』をさわやかでメロディアスに歌い、アリーナの大観衆に囲まれて彼女はソロアーティストとしても堂々たる歌声を響かせる。
そしてこの日の締めくくりとして壇上に登場したKOTOKOはパワフルかつ堂々たる声で『Re-sublimity』(『神無月の巫女』OP)を歌い、得意のロングトーンからさらにもう一段階高く歌い上げ歓声を浴びる。MCで「今年20周年を迎えるという作品の曲」と紹介し、こちらもNBC同様の歴史の長さを感じさせて歌ったのは、彼女のレパートリーの中でもしっとりめな『きれいな旋律』と『Chercher ~シャルシェ~』。ともに『マリア様がみてる 3rdシーズン』のEDテーマだ。それぞれ清楚さと温かみを持つ曲が彼女のクリアな声に運ばれてくる。続いて聴こえてくるポップなサウンドは『覚えてていいよ』。これはKOTOKOがメジャーデビューした思い出の1曲。ひたすら元気に盛り上げ、そのテンションで続けて「全部の力を使い切って!」と会場をフロアごとに隈なく煽ってからセンターステージに向かい『ハヤテのごとく!』主題歌のメドレーを展開する。なかでもハードでポップな『七転八起☆至上主義!』はイントロから高温の反応が返ってくる。そこにエモーショナルなボーカルをぶつけてくる彼女に向けてヒートアップした声援が飛び、暗転中にもコールが止まない。

つづくMCで彼女はオーディエンスへの感謝を述べ、そして14年前にジェネオンレーベルの第1弾アーティストとしてデビューしたときのようすを語る。そして彼女の口から「来年15周年に向けて、またNBCさんにお世話になることになりました」と発表すると大きな歓声が湧き、「『原点回帰、そして新たなる挑戦』を掲げてまた作品作りに取り組んでいきます!」と力強く述べた。そして最後に「“存在”という意味がタイトルになった曲です。私たちを応援してくれるみんなの今・未来が輝ける“存在”になりますようにという思いを込めて」と述べ、大人気曲の『being』(『灼眼のシャナ』OP)を歌い出すと、あっという間にフロアはウルトラオレンジに輝き出す。ひとつずつの音をしっかりと刻み、どこまでも高く届くロングトーンで歌い上げ、本編を締めくくった。
エンディングのゾーンでは『マツケンサンバII』のカラオケが流れ、会場は笑いとお祭り感溢れる空気に。実はこの曲もジェネオンレーベルで発売されたもので、25周年の歴史の一部なのである。グランドフィナーレではMOTSUと八木沼悟志が司会者として登場し、オーディエンスが受け止めたこの日の熱い思いを代弁し出演者を呼び込み、それぞれに感謝を述べるとオーラスの1曲を南條愛乃が「今日1の声を皆さん一緒に出して歌って下さい!」と呼び込むとオールスターで『only my railgun(NBCFes.ver.)』を。

アーティストそれぞれの個性を感じさせる層の厚い歌声と呼応するように観客も熱唱する中、最後に熱く大きな盛り上がりを見せて約6時間にわたって繰り広げられた「NBCUniversal ANIME×MUSIC FESTIVAL」は大成功の中、幕を下ろした。

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